おふらんす紀行counter

おふらんす紀行(2)

 

 

 ルルド巡礼

 

 

 

(02年5月) 高倉 健次

 

 

 

 

ルルドでの日々(1)

 

 

 

 

  ツールーズ空港で荷物を受け取って、成田からずっと手に持っていた青い封筒を荷物に入れて、その荷物をルルドへ行く貸し切りバスのトランクに入れて、僕は座席に着いた。

 しかし、バスの出発直前に青い封筒を空港に置き忘れたかと思い、慌ててターミナルビルへ走って戻った。添乗員も僕の後ろを走ってついてきた。荷物の出てくるベルトコンベイヤーや座った覚えのあるベンチなどを探し、仕事をしている人に英語で聞いたりしたが、見つからなかった。

 青い封筒をあきらめてバスに乗った。ルルドのホテルに着いて、添乗員から各々の部屋の番号を知らされ、部屋の内線番号が部屋の番号と同じこと、用があったら添乗員の部屋に内線で連絡するように言われた。青い封筒を見つけたので添乗員に内線で連絡した。

 ホテルに入って分かり、帰りのツールーズ空港のターミナルビルで再確認したのだが、フランスでは建物の出入り口のあるフロアーがゼロ階でその上が一階、更にその上が二階なのだ。泊まったホテルは一日三食で旨かった。一番旨かったのは搾りたての牛乳だった。漁師は旨い魚を食っているが、酪農家も旨いミルクを飲んでいると思う。パンは余程旨くて夢中で食ったのか、味を覚えていない。食事中に僕は「日本人は魚を食べている分、贅沢だ」と言い終わった途端、目の前に白身魚のムニエルの皿をドンと置かれた。牛蒡の灰汁(あく)の匂いのスープも印象に残った。

 僕は日本人、中国人、朝鮮人が一番旨いものを食っていて、欧米人が一番まずい物を食っていると決め付けていたが、それは相当修正せざるを得ない。フランスのレストランでは水はポットに入れてテーブルの上に置いてあった。