おふらんす紀行（８）

ルルドからの岐路

(02年５月） 高倉　健次

チェックアウト

　メリキュールホテルを二泊して午前中にチェックアウトした。その後、別のホテルに宿泊していた同じグループ全員と合流してホテルのレストランでナポリタンスパゲティを食べてバスに乗って、ツルーズ空港に戻った。
　行きと同じ運転手だった。シャンソンなどを聞きながら農村風景を見送った。

ツルーズ空港からドゴール空港へ

　ツルーズ空港で妙なものを見た。日本に帰って知ったことだが、フランスにはパロディ保護法というのがあるらしい。ツルーズ空港からドゴール空港まで行く間、僕は添乗員に飛行機が飛ぶ原理を説明した。

　ドゴール空港に着く頃には日が沈んでいた。僕は空港の商店で細かいコインを壱ユーロコインに両替してもらった。壱ユーロコインをお土産にしたのだ。

シベリアの雪原

　ドゴール空港を飛び立ってしばらくすると朝になった。シベリア上空だ。窓から下を見ると、雲の下は一面雪原だった。ある地点では雪原に四本の並行直線が走っていた。高速道路にしても変だ。

そして帰国

　ユーラシア大陸を離れて海へ出る。
　日が沈んでだんだん暗くなる。暗い海にかすかに佐渡島が見えた。空から見ると佐渡島は本当に小さい。新潟上空へ来て街の灯りを見ると旅行は終わりだと思い、多少淋しくなった。

　成田に着き、荷物を受け取り、添乗員に「お世話になりました」と言ってＪＲ線の駅に行った。

　ルルドに行って十ヶ月位経つ。特に奇跡はなかったが、ルルドに望みを繋ぎ、九年待った事は僕の精神を鍛えたと思う。